-呼吸器内科について-
呼吸器内科は肺や気管支、胸膜など呼吸器に関わる病気や疾患について検査や診断、治療を行う診療科です。
呼吸器に関する病気や疾患でよく見られるのが風邪や咽頭炎、扁桃腺炎、気管支炎、肺炎といった急性の病気から、気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、慢性気管支炎、肺結核後遺症、肺非結核性抗酸菌症、気管支拡張症などの慢性の呼吸器疾患全般の診断・治療を担当します。具体的な症状としては、長びく咳や痰、動くと息切れを起こすなどこのようなケースでは呼吸器の病気が隠れている場合があります。
この様に同じような症状であっても、病気の種類によっては治療の仕方や内容が変わるので専門的な知識や臨床経験豊富な医師の診断・治療が欠かせません。
-呼吸器内科でよく見る疾患-
気管支喘息
空気の通り道である気管に慢性的な炎症が生じて、その結果気道狭窄が起こり様々な刺激をきっかけとして、呼吸の度に喉がゼーゼー、ヒューヒューと鳴る(喘鳴)や同時に咳や痰が出て呼吸自体が非常に苦しくなる疾患です。1年を通して良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら慢性的な経過をたどります。そのため適切な診断と治療が鉄則であり、同時マスクやうがい手洗いなどの基本的な予防方法などを身に着け実践することで重症化を防ぐことができます。
年に数回、軽い喘鳴(ぜんめい)を起こすだけの場合でも気道には常に炎症があるため、喘息の兆しが見られる段階から、少しでも早く治療を行うことが大切です。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは以前は肺気腫、慢性気管支炎と呼ばれていた病気で、たばこをはじめとした有害な空気を吸い込むことで、空気の通り道である気管支や酸素の交換を行う肺に障害を起こす病気です。たばこをよく吸う方や不摂生な生活習慣の方などによく見られ、主に40代での発症率が高い傾向があります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、眠っている時に無呼吸状態になる病気で、その結果日中の活動時間帯に睡眠不足などが原因で様々な悪影響を及ぼすことに繋がります。具体的には眠気などから、特に精密機器の操作や一般的には車の運転など他人を巻き込む重大なリスクもあるので、たかが睡眠不足と侮ることなく定期的な検査を心がけることが大切です。
無呼吸指数(1時間あたり呼吸が10秒以上止まっている回数)が当院での検査の結果、20~40の場合は提携医療機関での宿泊を伴う検査(PSG検査)を行っています。
0以上の場合は、在宅での治療(CPAP)が即必要になりますが、当院でも治療機器のご提供が可能です。
また、当院では携帯用の簡易型検査装置をご用意しておりますので、睡眠の質や睡眠中の呼吸状態を調べる終夜睡眠ポリグラフィー検査(Polysomnography)を自宅で行うことができます。
簡易型検査装置でSASである可能性が高いと判断された場合、高度医療機関への紹介も行っております。
また、SASの治療法としては減量や生活習慣の指導などを行いますが、症状が進んでしまった場合はCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)と呼ばれる装置を使った治療が一般的です。これは睡眠時無呼吸症候群専用の治療機器で、睡眠時に空気を送り込みためのマスクを鼻に装着し、送り込まれた空気によって気道を広げてのどの塞がりを防ぎ、睡眠時無呼吸を予防します。
肺炎
肺炎の原因は細菌やウイルスなどの病原性微生物が肺に侵入し、肺が炎症を起こしている状態でこれら病原性微生物の多くは空気中に漂い呼吸の際に人体に侵入してきます。通常では身体の免疫機能によってこれら細菌やウイルスは排除されるのですが、何らかの原因で体力や抵抗力が弱くなっているとこの免疫機能がうまく機能せず病原性微生物の感染力が上回ると肺炎を発症します。
肺炎はがんや心臓病、脳卒中に続き日本人の死亡原因の第4位として挙げられています。
特に年配の方や慢性の持病をお持ちの方は肺炎に罹患しやすい傾向にあり、また治りにくいこともあり、普段から病原性微生物の予防や早めの治療が欠かせません。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎はこの名の細菌が原因となり発症します。治療はこのマイコプラズマ菌の抗菌薬で行います。
この疾患の特徴として乾いた咳が長く続き、特に夜間に悪化する傾向があります。また、ゼーゼーといった喘鳴や高熱、頭痛、吐き気を伴う場合もあり、特に免疫機能が低下している方は注意が必要です。
マイコプラズマ菌は、感染者のくしゃみや咳の飛沫によって感染します。感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は約1週間から3週間ほどで、主に3歳~7歳までの小児が罹患しやすく全体の約7割にもあたりますが、成人や年配の方の感染も決して0ではありません。
抗菌薬はマクロライド系が従来投与されていましたが、近年マクロライド系抗菌薬に耐性を持つ菌が増えており、効果が不十分なこともあります。そのため抗菌薬の選択が難しくなっています。
感染の予防にはこまめな手洗いや、人の集まる場所から帰宅した際に念入りにうがいをするなどの習慣化が大切です。
長く続く咳に伴い発熱や喘鳴、吐き気を伴う場合には感染を疑い、周囲の方への2次感染を防ぐためにもマスクを着用し、早期に最寄りの医療機関へ受診されることをお勧めします。
肺結核
肺結核は結核菌と呼ばれる病原性微生物が肺に侵入し発症する感染症で、初期症状として発熱、全身の倦怠感、食欲不振、体重減少などが現れます。また、肺以外にもリンパ節や腸、骨などに感染することもあります。
進行すると、咳や痰を伴い場合によっては血痰が現れることもあります。
感染源は結核菌を持つ患者様の咳による飛沫感染が主で、感染してもすぐに症状が現れずある程度の潜伏期間を経て発症します。
ですが、実際に肺結核を発症する方は感染後の10%~15%程です。
発症が疑われる場合には速やかに最寄りの医療機関での検査、治療が重要となります。検査の際、痰から大量の結核菌が検出される場合には結核専門施設での治療が必要となりますが、通常は一般外来での治療でまず問題ありません。
治療は抗結核薬によって行います。最短でも6カ月間内服を続けます。この間内服を忘れてしまったり、自己判断でやめてしまうなどすると抗結核薬に耐性を持つ結核菌となってしまうので注意が必要です。また、治療によって結核菌が排除されても、およそ2年間は再発しないかの検査を行います。感染者の近くにいる方には2次感染による発病を防ぐために内服薬を処方します。
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